フライ、ダディ、フライ
笑いと涙誘う中年男の特訓
娘に暴力を振るった不良学生と戦うために立ち上がった中年の父親と、その父親に戦い方を教える高校生の40日間の熱き友情物語である。
口数は少ないが、めっぽうけんかの強い高校生、在日朝鮮人のパク・スンシンは夏休みを返上してこの「オッサン」を特訓する。日ごろ運動不足の中年サラリーマンにとって、特訓は地獄だった。初めはぶざまな姿だった彼が毎日の特訓に打ち勝ち、顔つきにも精かんさがあふれてくる。
人間の体は鍛えれば応える。何事もあきらめなければ達成できる。しかし現実にはなかなかそうはいかない。だからこそ応援したくなる。
「GO」で直木賞を取った金城一紀の原作・脚本はさすがである。スンシンを演じる岡田准一の若いしなやかな体が美しい。父親役の堤真一が素晴らしい演技で笑いと涙を誘う。監督は成島出。久々に「日本映画万歳」と叫びたくなる。元気の出る作品である。(2005年8月4日・林田)