亡国のイージス
福井晴敏原作をリアルに映画化
訓練航海中のイージス艦「いそかぜ」が某国の工作員たちに乗っ取られる。副長の宮津と幹部も関与していた。宮津は米軍が開発した化学兵器グソー(わずか1リットルで東京を壊滅させる)をミサイルの弾頭に搭載。照準を東京に合わせて政府に要求を突きつける。政府が苦慮する中、先任伍長の仙石は一人で艦を取り戻しに向かう。
原作は映画化されて話題を呼んだ「終戦のローレライ」「戦国自衛隊1549」の福井晴敏。監督は「KT」「顔」の阪本順治で、出演者は真田広之、寺尾聰、佐藤浩市、中井貴一という豪華な顔ぶれ。原作には「国家とは何か」「それを守る国防とは」についての議論が多いが、映画はそれを最小限にとどめ娯楽映画の側面を強めている。
自衛隊の全面的な協力を得て、リアリティーあふれる映像となっており、成功作となった。しかし、個人的には無敵のイージス艦がもっと暴れるシーンがほしかったような気もする。(2005年8月18日・酒井)