サマータイムマシン・ブルース
リモコンめぐるどたばた描く
もしタイムマシンがあったら、いつに飛ぶ? 誰もが考えることだ。煮えたぎるような暑い夏の日、某大学のSF研究会の部室に突然出現したタイムマシン。驚いた部員たちが出した結論は、昨日に戻って壊れる前のクーラーのリモコンを取って来ることだった。
単純でばかばかしい、と思われるかもしれないが、これがなかなか本格的でタイムパラドックスもしっかり追求し、細かい伏線の隅々まで、愉快に楽しむことができる。二日間という時間の枠の中で、どたばたと事が複雑になっていく過程は緊張感があり、わくわくものだ。上野樹里、瑛太などがさわやかに好演している。
無駄な事に、思い切りエネルギーを注ぐことのできる若さは無防備だが、気持ちがいい。画面には、昭和を思わせる雰囲気があり、郷愁さえ感じさせて、マニアにはうれしいネタも満載だ。原作は舞台劇。監督は「踊る大捜査線」シリーズの本広克行。(2005年9月22日・杉尾久)