NANA
相手を思いやる女同士の人間愛
2人のNANAは年齢も同じ20歳。列車の中で隣り合わせに座ったことから、物語は始まる。2人の少女の物語なのか、ロックを目指す女の子のサクセスストーリーなのか、または2人のそれぞれの恋の物語なのか? どれだっていい。どこに重点を置こうともこのドラマは胸に響く。
女同士のねたみや、いがみ合いのドラマはもう飽きた。性格もルックスも夢も、何もかも異なる2人が相手に縛られることなく相手を思いやる。2人の間に漂う女同士の人間愛がたまらない。
パンクロックのライブシーンは、歌う中島美嘉もバックのミュージシャンたちも、陶酔するファンの熱狂もすべてに共感できた。ロックのファンは、もっと見せてほしいと思うかもしれない。
2人のNANAを演じる中島美嘉と宮崎あおいの素直な演技がこの映画を成功させている。原作は矢沢あいのコミック。監督は「とらばいゆ」「約三十の嘘」の大谷健太郎。(2005年9月29日・林田)