大停電の夜に

６組の男女のさまざまな愛

毎年この時期になると、クリスマスに関する映画が公開される。今年のお薦めはこの作品。

クリスマス・イブの夜に東京が大規模な停電に見舞われる。停電の中で昔の恋人を待ち続けるジャズ・バーのマスター（豊川悦司）と向かいのキャンドル・ショップの女店主（田畑智子）。妻（原田知世）と愛人の間で揺れる会社員（田口トモロヲ）。ホテルのエレベーターの中に閉じ込められた中国人のベルボーイ（阿部力）とＯＬ（井川遥）など六組の男女の愛が描かれていく。六つの愛のストーリーは複雑に絡み合いながらロマンチックに展開する。さまざまな愛の形が示されるが、どれも見る者を温かい気持ちにしてくれる。

監督は今年1月に公開された「東京タワー」の源孝志。脚本は音楽家・作家・脚本家として活躍する相沢友子と源監督の共同。映画ファンへの素晴らしいクリスマス・プレゼントであり、一人で見るにはもったいない作品である。（2005年12月8日・酒井）