ある子供
わずかな金で子を売る父親
20歳のブリュノ(ジェレミー・レニエ)と18歳のソニア(デボラ・フランソワ)は恋人同士。ブリュノは仕事もなく、盗みやひったくりをして暮らしている。
2人に子供が生まれるが、ブリュノには父親としての実感がわかない。どうやって子供を育てていくのか、観客はハラハラさせられ通しである。子供を見ても何の感情も愛情も抱けないブリュノはわずかなお金で自分の子供を売ってしまう。
何をやってもうまくいかず、行き当たりばったりのすさんだ生活から抜けられないブリュノだが、母親となったソニアは必死で子供を育てようとしていて、その姿がいじらしい。
最近のニートと呼ばれる若者たちは、日本だけの現象ではないらしい。監督はベルギーのダルデンヌ兄弟。昨年のカンヌ映画祭で二度目のパルムドールを受賞した。この映画は監督から若者たちへの心優しいメッセージなのかもしれない。(2006年4月20日・林田)