It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

RIZE

目が離せないダンスシーン

映画館で予告編を見ると面白そうだったのに、映画の実物はつまらなかったという経験はままあるが、その逆はめったにない。この映画は数少ないその一例である。

予告編ではせわしない映像の作品に思えたが、映画はクラウン(道化)ダンスに熱中する青少年の姿を追って、しっかり撮られたドキュメンタリーだ。凶悪犯罪が多発するロサンゼルスで暮らし、一歩間違えば被害者か、自ら犯罪者になりかねない若者たち。彼らにとってダンスは現状打破の突破口でもあるのだ。

写真家デヴィッド・ラシャベルが監督した本作はそんなありさまをよく映し出しているが、一番の見ものは若者たちが昇る勢いで踊りまくるダンスの数々! これにはただ見とれるばかりだ。

人権問題の掘り下げ不足やダンス・バトルの勝敗の判定基準のあいまいさなどへの気掛かりは、圧倒されるダンスを前に消し飛ぶ。ダンス場面だけでも一見の価値はある作品である。(2006年5月4日・小野)

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