ナイロビの蜂

事故死の妻をたどる夫婦愛

アフリカを舞台にした恋愛映画に外れなし。勝手にそう思い込んでいるが、それがあながち間違いではないことを証明する秀作である。

原題は「律義な園芸家」。草花を愛する実直な外交官ジャスティン（レイフ・ファインズ）は活動家の女性テッサ（レイチェル・ワイズ）と出会い、結婚する。ある日、テッサが旅先のケニアで事故死したという知らせが入る。

原作がスパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレだけにスパイものミステリーの面白さもふんだんに取り入れ、夫婦愛が描かれていく。ジャスティンが妻の足跡をたどる旅をするうち、生前のテッサへの理解を深め、心を一体化させていくさまが素晴らしい。ナイロビのスラムやトゥルカナ湖などアフリカの風景も印象的。「シティ・オブ・ゴッド」（2002年）のフェルナンド・メイレレス監督が心に染み入るラブストーリーに仕上げた。ワイズはアカデミー助演女優賞を受賞。（2006年5月25日・小野）