It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々

信念の強さに胸を打たれる

第二次大戦中のドイツでヒトラー打倒を唱える地下組織的集団「白バラ」の紅一点、ゾフィー・ショルの若く散った人生を描いた作品である。1943年、ミュンヘン大学の女学生ゾフィー(ユリア・イェンチ)は大学構内にナチス批判のビラをまいたために逮捕される。そしてわずか数日で裁かれ、処刑される。

映画は逮捕後の彼女の描写に大半が割かれ、取調室の場面に重点が置かれる。ここで彼女はゲシュタポのモーア(アレクサンダー・ヘルト)から厳しく尋問されるが、恐怖を一切顔に出さず、必死に口実を考える。だが、万策尽きると、毅然として自らの行いを「誇りに思ってるわ」と言う。

彼女の「正義」への信念の強さに胸を打たれるが、責めるモーアの方も時のナチス政権にまひさせられて自分の側の「正義」を疑っていないようなのが恐ろしい。マルク・ローテムント監督の本作が現代に投げ掛けるものは多い。(2006年6月8日・小野)

TOP