ホテル・ルワンダ
1200人の命 大虐殺から救う
アフリカ大陸の中央に位置するルワンダで1994年、100日間で100万人もの人々が惨殺された事実を基に作られた映画である。
一見平和に見えていたフツ民族とツチ民族の間に何が起きたのか? 同じ国民である彼らが何者かの扇動によって憎しみ合い、殺し合う。疑心からくる恐怖。恐怖が恐怖を生み、大虐殺となっていく人間のもろさが見事に描かれている。
ルワンダの高級ホテルで支配人として働くフツ人のポールはツチ人の妻と子どもたちを守るためホテルに家族をかくまうが、行き場のないツチ人を見殺しにすることができず、ホテルに逃げ込んだ1200人ものツチ人の命を彼の勇気と知恵とで救うのである。白人社会に利用され虐げられてきたアフリカの悲しみの歴史が重くのしかかる。
アカデミー主演男優賞にノミネートされた主役のドン・チードルの演技が素晴らしい。監督・脚本はテリー・ジョージ。(2006年6月22日・林田)