寝ずの番
最後の望みに通夜は大爆笑
通夜が舞台であるにもかかわらず、不謹慎ながらの爆笑下ねた喜劇である。ベテラン俳優の津川雅彦が祖父マキノ省三、叔父マキノ雅弘の後を継ぎ、マキノ雅彦を襲名しての第1回監督作品。さすが血筋は争えないと言おうか、さすが演技派俳優の底力と言おうか、監督の巧みな演出につられて思わず噴き出してしまう。
エッチな笑いは下手をすると、忌み嫌われる場合も多いが、この作品に限り気分はそう快である。そのおかしさは「座布団一枚!」と掛け声を掛けたくなるほど。
上方落語家の笑福亭橋鶴が、いまわの際に、居並ぶ弟子たちから「最後の望みは?」と聞かれて、ある言葉をつぶやく。そこから始めるエッチな話題は通夜の大爆笑となり、大騒動となっていく。監督の兄・長門裕之も久々に明るく楽しく演じて味があり、弟子たちも中井貴一はじめ芸達者ぞろいだ。大人が笑って楽しめる、これは大人の喜劇である。(2006年7月20日・林田)