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シネマ1987online

亀も空を飛ぶ

クルド人難民の少年少女を描く

この現実を何と表現したらいいのだろうか。どこまでもどこまでも悲しみにあふれたイランとイラクの合作映画である。

イラク北部のクルド人難民キャンプ。戦争で親を亡くした子どもたちが大人を頼らずに生きている。米国にあこがれている少年サテライトはそんな子どもたちのリーダーだ。彼はアグリンという悲しい目をした女の子に淡い恋心を抱く。女の子は3歳くらいの弟をいつも背負っているが、その子は彼女がイラク兵に強姦されてできた子だ。地雷で両腕を失った兄は妹と妹の産んだ子どもを必死で守っているのだが、少女は自分の子どもを愛せない。

「亀も空を飛ぶ」という題名は少女の不幸を言い表している。バフマン・コバディ監督は優しく力強く子どもたちをカメラ越しに見守る。かわいそう、そんなまやかしの同情だけでは済まされない衝撃の映像だが、彼らは涙をぬぐい強く生きる。キネマ旬報ベストテン3位。(2006年1月19日・林田)

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