M・I-III
クルーズ自ら危険なスタント
「ミッション・インポッシブル」シリーズ第3作。主人公イーサン・ハント(トム・クルーズ)が悪党のオーウェン(フィリップ・シーモア・ホフマン)に捕らえられ、恋人に銃口を突きつけられて「秘密」の暴露を迫られる開巻からノンストップで楽しめる。
イーサンも悪党も血眼で追う「ラビットフット」の正体など実はどうでもよろしい。これぞヒッチコックの「マクガフィン」というやつ。観客には説明されないが、作中では重要で、それをめぐって事件が展開していく“何でも構わぬもの”だからだ。要はJ・J・エイブラムス監督らスタッフたちはヒッチコックを、映画のことをよく知っている。そんな映画が面白くないわけがない。
今年44歳のクルーズ自ら危険なスタントをこなし、バチカンや上海のロケシーンで海外旅行の気分も味わえる。映画館のクーラーで涼み、ポップコーンをほお張りながら見るには最適の一本である。(2006年8月3日・小野)