日本沈没
命懸けの努力ラストに感動
地殻の大変動が起こり、日本列島が沈没するパニックを描いた小松左京原作の再映画化作品。
原作がミリオンセラーとなり、最初の映画化作品が封切られた昭和48年はオイルショックの年で未来への不安が作品に塗り込められていた。作品の印象も日本人は死を覚悟するか、外国へ逃亡するのに忙しい感じがあった。本作が前作と決定的に違うのは、登場人物たちが最後まで日本という国をあきらめず、必死の努力をするという点である。
潜水艇パイロットの小野寺(草彅剛)が命懸けで深海に潜り、日本を救おうとするクライマックスは、それゆえ意外なほどの感動を呼ぶ。主演の草彅剛は自費で観賞券300枚を購入し、SMAPのメンバーらに配ったというが、その入魂と自信のほども分かる。
樋口真嗣監督の演出は天災に巻き込まれた庶民の描写が弱く、多少の難はあるが、見応えのある日本映画の力作である。(2006年8月10日・小野)