ジャーヘッド
湾岸戦争までの長い退屈な日々
1991年の湾岸戦争はアメリカ人にとってどんな戦争だったのか。この作品は戦争に参加した一人の海兵隊員の物語である。
アンソニー・スオフォード(ジェイク・ギレンホール)は18歳で海兵隊に入る。厳しい訓練の後、サイクス曹長(ジェイミー・フォックス)の目に留まり、斥候狙撃隊に選ばれる。そのころクウェートにイラクが侵攻。スオフォードたちはサウジアラビアへ派遣されるが、砂漠のど真ん中で戦争が始まるまで長い長い退屈な日々を過ごすのだった。
監督は「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス。従来の戦争映画で重要な要素だった友情、忠誠、名誉、愛国心、反戦等にはまったく無関心で一人の海兵隊員を淡々と描く。そこから見えてくるのは現代の戦争の姿、退廃、退屈、残された家族や恋人への思いなどこれまでの戦争映画では描かれなかった側面である。すごい作品が誕生したものだ。(2006年3月2日・酒井)