ブラッド・ダイヤモンド

現代アフリカの諸問題浮き彫り

人々の心を誘惑するダイヤモンド。この映画は1990年代のアフリカ、シエラレオネを舞台にダイヤの密売人と、反政府軍に家族と引き離された男、女性ジャーナリストが三者三様の思いで巨大なピンクダイヤを追うドラマである。

行く手を遮る者と三者の熾烈（しれつ）なダイヤ争奪戦の中で、正式ルートに乗らないダイヤが武器調達資金とされている事実、その背景にある政情不安や貧困など現代アフリカが抱える諸問題を浮き彫りにしていく。その手際は社会派エドワード・ズウィック監督の面目躍如だが、「グローリー」「ラスト　サムライ」の監督らしく戦闘シーンの迫力もすさまじい。

手練の演出で映画に引き込まれるが、中心三人を演じるレオナルド・ディカプリオ、ジャイモン・フンスー、ジェニファー・コネリーも好演。名作「グリード」（1924年）、「黄金」（1948年）の世界がよみがえった。（2007年4月19日・小野）