今宵、フィッツジェラルド劇場で
人情味あふれ懐かしい作品
ミネソタ州セントポールの「フィッツジェラルド劇場」で30年も続いたラジオの公開生番組が終わることになる。その最後の1日を巨匠ロバート・アルトマン監督が人情味あふれる懐かしい映画に作り上げた。映画の中で流れる懐かしいカントリーミュージックは聞き逃すには惜しい。
この劇場で歌い続けた歌手と語り続けた司会者の最後の舞台が始まろうとしている。出番を待つ間にも、昔の思い出話に花を咲かせる姉妹歌手。メリル・ストリープとリリー・トムリンの掛け合いが胸を打つ。初老の彼女たちの張りのある歌声は勇気を与えてくれる。良き時代のアメリカ映画を見る思いである。
何といっても一番の主役はこのフィッツジェラルド劇場だろう。番組の終焉と劇場の終焉を描いたアルトマン監督はこの映画を最後に昨年、81歳で亡くなった。これはアルトマン監督らしい遺作となった。(2007年5月24日・林田)