しゃべれどもしゃべれども

下町の人情を心優しく描写

今も残る東京の下町の風景、ほのぼのとした人情、ほろっと泣かせるさわやかな愛を描いて心優しくなれる作品である。そして本物の落語が聞きたくなってくる。

古典落語にこだわり続ける落語家の今昔亭三つ葉（国分太一）はまだ二つ目。小三文師匠（伊東四朗）の通いの弟子だが、思うように客は笑ってくれない。悩める彼のもとに「話し方を習いたい」と個性豊かな3人が集まった。無愛想でいつも怒っているような十河五月（香里奈）、大阪弁を学校でからかわれる小学生の村林優（森永悠希）、元プロ野球選手の湯河原太一（松重豊）である。三つ葉の毎日は苦労の連続。しかしそんな三つ葉にも真の落語に目覚める時が来る。

「本の雑誌」ベストテンの1位に輝いた佐藤多佳子の小説を「愛を乞うひと」「ＯＵＴ」の平山秀幸監督が映画化。人気グループＴＯＫＩＯの国分太一が懸命な演技で単独主役をこなしている。（2007年6月7日・林田）