アポカリプト
全編「マヤ語」 圧巻の逃走劇
俳優から今や世界的大監督となったメル・ギブソンの新作。スケールの大きい歴史劇では定評があるが、今回の作品ではマヤ文明の崩壊前夜を舞台にしている。
森で狩りをして平和に暮らす中米ジャングルの村人たち。だが突然、マヤ帝国の傭兵(ようへい)たちに村を襲われ、仲間の多くを殺される。生き残った男たちは捕虜として帝都へ連行、儀式のいけにえにされる。
ジャガー・パウ(ルディ・ヤングブラッド)はジャングルへ逃げ込み、傭兵たちに追われる。追っ手の男たちが非常に執念深く、この逃走劇はすさまじい。
歴史劇だが、ハードなアクション映画として圧巻だ。今ではほとんど使われないマヤ語で全編を通したのも効果大。人間は同じ人間の築いた文明を崩壊させる愚かな戦いをいつ終わらせるのか。新時代(アポカリプト)には希望が持てるのか。そうした誠実な問い掛けもしっかり伝わってくる力作である。(2007年6月28日・小野)