舞妓Ｈａａａａｎ！！！

夢に突き進む男を描く喜劇

舞妓はんと野球拳をする夢を抱いた男が巻き起こす騒動を描いたにぎやかなコメディー。宮藤官九郎の脚本を「花田少年史　幽霊と秘密のトンネル」の水田伸生が監督、主演に阿部サダヲを据えてあっけにとられる映画を作り上げた。

何といっても、お茶屋遊びに突き進む阿部のパワーがすごい。お茶屋が「一見（いちげん）さんお断り」なのを知るや、自分の会社の社長にすがりつく。ゴマすりのため仕事に打ち込み、平社員からたちまちトップ・セールスマンに。

お座敷遊びでライバル視する年俸8億円のプロ野球選手・内藤（堤真一）には同じプロ選手となって対抗。以後、彼が転身すれば、阿部も追い掛ける。むちゃだが、見る方は「人間、やったらやれる」という気に。元気が出る映画である。

本作は植木等の遺作でもある。「元気印」の後輩が出てきたぞと、天国から植木もほほ笑んでいるに違いない。（2007年7月12日・小野）