It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

黄色い涙

夢持つ若者の青春群像描く

最近、日本映画では昭和30年代を描いた作品がヒットしている。本作も1963(昭和38)年に話が始まる映画だが、ノスタルジーに浸っているだけの作品ではない。

東京・阿佐谷のアパートで暮らす漫画家の卵・村岡(二宮和也)。原作は永島慎二の漫画の同名作で、彼には原作者の若き日の姿が投影されているようだ。村岡の部屋に画家や歌手、小説家志望の青年たちが転がり込んでくる。映画は彼らの共同生活を描いた群像劇である。金はないが、夢だけはある若者たちの泣き笑いの日々が見ていて身につまされる。彼らは今を生きるリアルな存在として立ち現れる。そこが本作の優れたところだ。

若者たちに扮し、それを成し遂げたアイドルグループ「嵐」の演技を激賞したい。二宮も京都弁を使う櫻井翔も全員が素晴らしい。監督は「ジョゼと虎と仲間たち」の犬童一心。青春映画ではもはや右に出る者はなさそうだ。(2007年7月26日・小野)

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