ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

主人公の心を等身大で好演

ご存じＪ・Ｋ・ローリングの世界的ベストセラーの映画化でシリーズ第5作。魔法学校の生徒ハリー・ポッターは、ダンブルドア校長を中心とする「不死鳥の騎士団」とともに闇の帝王ヴォルデモートに立ち向かう。

ポッターを演じるダニエル・ラドクリフら子役たちの成長の早さに驚かされる。映画の内容も「大人」の入り口に立たされた主人公の心の揺れを描くことにポイントが置かれる。闇の帝王の影響下で感情を抑制できず怒りを暴発させるポッター。彼の姿はそのまま現代のティーンエージャーの反抗期をほうふつさせる。そんな主人公をラドクリフが等身大で好演。

試練に耐え成長していく主人公を見守るマギー・スミス、ゲイリー・オールドマンらの演技もさすが。イギリス演劇界を代表する彼ら名優の名演とデビッド・イェーツ監督の手際のいい演出で、本作は風格があり、誰もが楽しめる作品となっている。（2007年8月16日・小野）