河童のクゥと夏休み
大人もホロリアニメの名作
「クレヨンしんちゃん」でおなじみの原恵一監督の優しい思いが伝わる名作アニメとなった。
学校帰りに石を拾った小学生の康一(声・横川貴大)は中から現れた不思議な生き物と出会う。それが河童(かっぱ)のクゥ(声・冨澤風斗)だった。両親と妹と康一の四人は家の中でクゥと一緒に暮らす。初めは気持ち悪がっていた家族もクゥを誰にも悟られないように、気をつけながら家族の一員として愛情をそそぐ。
夏休みになると、康一は両親の許しを得てクゥと二人きりの旅に出る。田舎に着いた康一とクゥは川で泳ぎ、森を走り抜け、のびのびと楽しい時間を過ごす。しかし東京へ帰ると、クゥは世間に知られてしまう。
映画は押しかけるマスコミの脅威や暮らしにくい現代の世相、家族愛、いじめ、友情、情報社会の怖さなど私たちに多くの問題を投げかける。子どもだけでなく大人もホロリと涙がこぼれる作品である。(2007年8月23日・林田)