傷だらけの男たち
独特の映像で見応えは十分
「インファナル・アフェア」のアンドリュー・ラウとアラン・マックの監督コンビと主演のトニー・レオンが新たに送り出す香港ノワール。トニーが一癖ある役で新境地を切り開いている。
トニーが演じるのはベテラン刑事のヘイ。金城武が彼の部下ポンにふんしている。恋人の自殺の衝撃から刑事を辞め、今やアルコール依存症の私立探偵としてわびしく暮らすポン。そんなある日、ヘイの妻の父親が惨殺される。不審を抱いたヘイの妻はポンに捜査を依頼する。ポンは捜査を続けるうち、驚くべき事実を知ることになる。
めくるめくストーリー展開と独特のスタイリッシュな映像を堪能できる作品。愛する者を失わなければならない男たちの心の痛み、悲しみが画面ににじみ出る。「インファナル・アフェア」ほどの詩情がないのは惜しいが、見応えは十分。ディカプリオ主演でまたもハリウッドでリメークされるというのもうなずける。(2007年9月13日・小野)