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シネマ1987online

王の男

童話ではなく社会批判物語

タイトルの王とは朝鮮王朝第十代の暴君ヨンサングンであり、男とは旅役者の女形コンギルである。コンギルの美しさに魅せられた王は旅役者の一座を宮廷に住まわせる。「王を笑わせなければ死刑だ」と言われ、コンギルの相方で兄貴分のチャンセンは恐る恐る風刺劇を披露する。

童話を映画にしたような幼さが笑いを誘うかと思いきや、内容は政治や暴君を風刺した社会批判の物語でもある。不思議に思うのは女形コンギルとチャンセンの間柄である。今で言う「ゲイ」の恋人同士ではなく兄妹のような強いきずなで結ばれているのだろうか? 王にしても美形に対するそれほどの執着はない。

ユーモラスな旅芸人の踊りの動作、ダイナミックな綱渡りの演技、残酷な刑罰のシーン、韓国映画の力強さにグイグイ引っ張られて、最後まで見せられてしまう。監督はイ・ジュンイク。女形にはイ・ジュンギが扮して、なまめかしい美しさを見せる。(2007年1月25日・林田)

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