包帯クラブ
天童荒太原作を清冽に描く
天童荒太原作小説の映画化。「誰も知らない」でカンヌ国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞した柳楽優弥主演の最新作である。
変な関西弁でとっぴな行動を繰り返すディノ(柳楽優弥)は高校生のワラ(石原さとみ)らとともに傷ついた場所に包帯を巻く「包帯クラブ」を結成する。だが、彼らの行動は警察に密告され、ピンチに立たされる。
他人の心の痛みを少しでも分かりたいというディノらの活動の動機が胸を打つ。世界中に彼らのような心を持つ人々がもっと多ければ、9・11やイラク戦争も起こらなかったのではないかという思いを抱かされる。彼らの活動は軽犯罪だろうし、良かれと思ってやったことに傷つく人もいる。それらも踏まえつつ現代で最も重要なテーマを清冽に描いた堤幸彦監督に拍手を送りたい。
最近、堤監督は「明日の記憶」のようなドラマから娯楽作まで作品が実に幅広い。今が旬と思える秀作である。(2007年10月4日・小野)