ボーン・アルティメイタム
脚本と撮影で破格な娯楽作
単純なストーリーで凝った脚本、そしてスピード感あふれるドキュメンタリーのような撮影が功を奏した破格の娯楽映画が誕生した。
謀略に巻き込まれた米中央情報局(CIA)のエージェント、ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)が自分の正体探しの旅に出るシリーズの第3弾である。2作目は過去にないカーチェイスの臨場感に驚かされた。3作目ともなるとマンネリになりがちだが、怒とうのアクションシーンに最後まで目が離せない。
モロッコのタンジールで殺し屋と死闘を繰り広げるシーンがこの映画の白眉(はくび)である。特に屋根から窓へジャンプする場面の迫力はその撮影とともに記憶に残る名シーンとなった。
CIAの女性を演じるベテランのジョアン・アレンと若いが演技派のジュリア・スタイルズの好演も見逃せない。原作は3作で完結したが、映画は続きそうなので楽しみなシリーズになった。(2007年11月22日・笹原)