めぐみ　引き裂かれた家族の３０年

拉致被害者の家族の姿追う

「いってきます」。いつものように学校へ行った娘が30年戻ってこない。この作品は北朝鮮による日本人拉致被害者家族を追ったドキュメンタリーだ。

横田めぐみさんが拉致被害にあったころ、誰もが北朝鮮スパイによる拉致が行われているなど思いもしなかった。最初の何年かは事件か家出だと考えるほかなかったが「何かおかしい」との母親・早紀江さんの予感は友人が教えてくれた新聞記事で現実となる。

小泉前首相の北朝鮮訪問のニュースで拉致の事実を知った米国人ジャーナリストがなぜ拉致が行われたのか、なぜめぐみさんは帰れないのか、新聞記者や元工作員のインタビューでつづる。合間に挿入される拉致被害者たちの姿や家族の姿が痛々しい。「家族を帰して」。それだけの思いがなぜこんなにほんろうされなければならないのか。鬼子母神をいさめたお釈迦様は何を思うだろう。（2007年2月8日・手塚）