バンテージ・ポイント
練られた脚本最後まで緊張
テロ撲滅国際サミットが開催されるスペイン。広場に観衆が集まり、米国大統領のスピーチが始まろうとした瞬間、銃声がとどろき、大統領が狙撃される。観衆が逃げまどう中、続いて爆発が起きる。前半は大統領のほか、広場に居合わせたシークレットサービス、テレビ局スタッフ、観光客ら8人の視点から場面を巻き戻して描くことで実際に何が起きたのかを浮き彫りにしていく。
次々と暴かれていく真実。二重三重のわなとトリックが観客を待ち構える。後半は手に汗握るカーアクションに展開。張り巡らされた伏線が一気に収束するラストまで綿密に練られたテンポよい脚本と緊張感あふれる演出に目が離せない。
8人が抱える複雑な心情が彩りを添え、群像劇としての見どころも多い。予定調和的な面はあるが、90分という短い時間の中での無駄のないスピード感と圧倒的なパワーがそれをも吹き飛ばしてくれた。(2008年4月10日・のだ)