アイ・アム・レジェンド
忘れ難い場面 終幕へ緊張感
夢のがん治癒率100%の新薬が発明された。数年後の2012年、その薬がもとで流行したウイルスによって人類は絶滅の危機にひんしていた。唯一の生存者らしい兵士で科学者のネビル(ウィル・スミス)は廃虚と化したニューヨークで仲間の探索と血清の開発に孤独に打ち込んでいた。そんな彼の身にウイルスで人間が変異した怪物や凶暴化した動物たちの魔の手が迫る。
ウィル・スミス主演でスカッとしたアクション映画を望むと肩透かしを食う。彼の主演でかくも暗く重たく、せりふの少ない映画はまれだろう。
だが、この映画では、それらはすべて褒めるべき長所に転じる。緊張感を保ち、ラストシーンまで目をくぎ付けにする。リチャード・マシスンの小説の3度目の映画化だが、主人公が「親友」の愛犬を失う場面など忘れ難いシーンも多い。今回が最良の出来ではと思わせる秀作だ。監督はフランシス・ローレンス。(2008年1月10日・小野)