ミスト
理性むしばみ残酷な結末へ
スティーブン・キング原作のサスペンス・ホラーを「ショーシャンクの空に」のフランク・ダラボン監督が映画化した。
田舎町を襲った大嵐の翌日。デヴィッドは息子を連れて町のスーパーに食料品の買い出しに行く。やがて濃い霧が流れ込み、スーパーは霧に包まれてしまう。霧の中には何かが存在し、伸びてきた触手で次々と命が奪われていく。買い物客らはスーパーに閉じ込められたまま夜を迎える…。
霧によって作られた密室の中、えたいの知れない物に襲われるすさまじい恐怖と、徐々にむしばまれていく人の理性。理解を超えた出来事と絶望の中で、あおりたてる狂信者の言葉に人々が惑わされていく様子はリアリティーにあふれ、観客の神経を逆なでにする。
その恐ろしさはグロテスクなシーンがかすんでしまうほどだ。そして迎える驚がくのラスト。デヴィッドの絶望感をあざ笑うかのような残酷な結末だ。覚悟してご覧あれ。(2008年5月22日・のだ)