西の魔女が死んだ
画面から伝わる「包まれる」感覚
「もう学校には行かない。あそこは私に苦痛を与える場所でしかないの」。中学1年のまい(高橋真悠)は学校に行かなくなり、「西の魔女」と呼ばれる祖母の家で暮らすようになる。その生活は彼女に心の成長とは何かを教えてくれた。
梨木香歩のベストセラー小説の映画化。監督は「8月のクリスマス」の長崎俊一。主演はシャーリー・マクレーンの娘サチ・パーカー。深い愛情を持った老婦人をりんとした姿勢で演じている。
魔女が死ぬという題名には非情さを感じるが、作品は優しさにあふれている。画面からは「包まれる」という感覚が伝わってくる。私たちは何かに許されながら生きている。つらい時にひとときのけん騒に身を委ね忘れようとする場合もある。しかし、そこからはい上がろうとする時、弱い自分に気付き認めることができてこそ、人は成長できるのではないか。温かい腕で肩を抱かれたような気になる作品だ。(2008年7月3日・手塚)