つぐない
一つの嘘が生み出す悲劇
英国の作家イアン・マキューアンの小説「贖罪」を「プライドと偏見」のジョー・ライト監督が映画化した。
第二次世界大戦前の英国。上流階級の娘セシーリアは大学を卒業したばかりのそう明で美しい女性である。妹のブライオニーは小説家志望の感受性豊かな女の子。使用人の息子ロビーは広大な屋敷の中で働きながら彼女たちと一緒に育った。
ある事件で嘘の証言をしたブライオニーのためロビーは捕らわれてしまう。恋人同士のセシーリアとロビーはそれ以後、思いもよらない過酷な運命に流されていく。罪の重さに気づいたブライオニーは一生をかけて罪を償おうとするが、時間ばかりがむなしく過ぎていく。果たして彼女の罪は償えるのか?
セシーリア役のキーラ・ナイトレイの気品あふれる美しさには目を見はらされる。ロビー役のジェームズ・マカヴォイも魅力的だ。全体にあふれる重厚さは、さすが英国映画である。(2008年7月17日・林田)