ブラックブック
スリル満点の復しゅう物語
1944年、ナチス占領下のオランダを舞台にしたスリル満点の戦争サスペンス映画。鬼才ポール・バーホーベン監督が久しぶりに母国オランダでメガホンを取った。
家族をナチスに殺された美しいユダヤ人歌手ラヘルが復しゅうに命をかけ、レジスタンス運動に参加。ユダヤ人と見破られないために名前をエリスと変え、髪をブロンドに染めてドイツ人将校ムンツェに近づき、彼をとりこにしてしまう。しかしムンツェの思わぬ優しさにエリスもいつしか彼を愛するようになる。
ナチスは悪、レジスタンスは善と決めつけてはいない。どんでん返しの連続で息をつく間もない2時間24分。エリスを演じるオランダ女優カリス・ファン・ハウテンが魅力的である。ドイツ将校には「善き人のためのソナタ」で好演したセバスチャン・コッホがこの作品でもいい味を出している。見逃すには惜しいエンターテインメントな作品である。(2008年1月17日・林田)