デトロイト・メタル・シティ
松山ケンイチ悲喜劇を好演
最近、コミックの実写映画化が多い。若杉公徳の人気コミック映画化という話にはまたかと思ったが、面白ければ文句はない。残暑を吹き飛ばす快作に仕上がっている。
おしゃれでポップなミュージシャンを夢見て上京した青年・根岸(松山ケンイチ)。だが、彼はあろうことか悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」のボーカル、ヨハネ・クラウザーII世として売り出される。そして彼の思いをよそにバンドは大人気となってしまう。
とんだ悲喜劇に見舞われる主人公を松山が好演。彼がデスメタル嫌いの恋人に正体がばれそうになり、あたふたする姿には大笑い。しかも笑いのうちにどんな音楽も等しく皆に夢を与える点では同じであるという作り手の思いも伝わってくる。主人公が路上ライブする時、唯一の観客となる犬の存在を含めてすべてがいとしい、そして楽しい映画である。監督は李闘士男。(2008年9月4日・小野)