百万円と苦虫女
一人が似合う蒼井優の魅力
学校の成績は普通、特技もない、資格もない。人付き合いは苦手だし、おまけに前科一犯。そんな女の子が社会に出て何ができる? 主人公は百万円ためては別の町へ行き、他人とかかわらずに暮らす。実家を離れて転々とする主人公を描いた青春ロードムービー。
「さくらん」の脚本家タナダユキが蒼井優を主演に撮った本作は、日常にある空の色や風を感じられ、とても心地よい。
何の疑問も持たずに社会に出て上手に集団の中で暮らしていても、「ここが本当の居場所なのか?」と思うことはあるだろう。いくつになっても迷っている人もいるだろう。そんなときは立ち止まってみよう。ゆっくり周りを見回してみよう。時間がかかってもいい、あきれられてもいい。そこから気付けることは、きっと何にも替え難い力になるはず。主人公はそう教えてくれる。
蒼井優は一人が似合う女優だ。この作品にはそんな彼女の魅力があふれている。(2008年10月9日・手塚)