ウォンテッド
荒唐無稽だがスピーディー
ティムール・ベクマンベトフ。舌をかみそうな名前だが、旧ソ連出身の監督で「ナイトウォッチ」で人気を博した。その監督がハリウッドに招かれて撮ったのがこのアクション映画である。
ぱっとしない会社勤めをしていた青年ウェスリー(ジェームズ・マカヴォイ)。ドラッグストアで銃撃戦に遭遇し、謎の美女フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)に命を助けられて人生が変わる。彼女は千年以上前から暗躍する暗殺組織「フラタニティ」の一人でウェスリーは自分の父親がすご腕の暗殺者だった事実を知らされる。父親の遺伝子に目覚めた彼は組織で鍛えられ、一流の暗殺者となっていく。
弾道を精神力で曲げて撃つなど荒唐無稽なところが多いが、スピーディーな展開に気にならなくなってしまう。いかにもアメリカ映画的な作品だが、それを旧ソ連出身の監督が作り上げているのが面白い。興味津々の娯楽作である。(2008年10月16日・小野)