容疑者Xの献身
ベストセラー忠実に映画化
東野圭吾が直木賞を取ったベストセラー小説の映画化である。あの小説に勝る映画ができるだろうか、という心配は杞憂に終わった。キャストからストーリーの展開、そして衝撃のラストシーンまで見事なまでに原作に忠実で、満足できる作品に仕上がっている。
弁当店を自力で開店したばかりの若く美しい女性と中学生の娘の2人暮らしにまとわりつく別れた夫。2人は部屋に上がり込んだ元夫を殺してしまう。やむにやまれぬ殺害のシーンはか弱い女性の必死さが伝わって思わず同情の熱い涙が込み上げる。隣に住む高校の数学教師・石神はこの親子を何とか救おうとする。
ひそかに思いを寄せていたとはいえ、ここまで自分を投げ捨てた行動に人間は出ることができるのだろうか? 石神には今絶好調の堤真一、隣の女性には、はかなげな美しさの松雪泰子。監督は「県庁の星」の西谷弘。ぜひ堪能してほしい。(2008年11月6日・林田)