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シネマ1987online

櫻の園

監督の思いが見事に再結晶

鹿児島県出身、中原俊監督の最新作。吉田秋生の原作漫画をもとに1990年に映画化され、絶賛を浴びた同名作のセルフリメーク。いや、監督自身によれば、「リイメージ」作品だそうである。

バイオリニストになる夢を捨て、伝統を重んじる高校「櫻華学園」に転校してきた少女・結城桃(福田沙紀)。厳しい校風の学校に違和感を覚えていた彼女は、ある日、校舎内の「あかずの部屋」と呼ばれる場所で戯曲「櫻の園」の台本を見つける。学校ではこの劇の上演が、ある理由で禁止になって久しく、桃は同級生たちと復活させようと試みるが、厳格な教頭・高山(富司純子)の猛反対にあってしまう。

戯曲の上演に奔走し、伝統に風穴を開けようとする少女たちの姿がすがすがしい。チェーホフの「櫻の園」がドラマに密接にかかわってくるのが前作との違いで、この点心残りだったらしい監督の思いが見事に再結晶した佳品である。(2008年11月20日・小野)

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