シルク
日本の少女にひかれる青年
時は19世紀、江戸幕末のころ、絹製造会社のフランスの青年が健全な蚕の卵を求めて、はるか遠い極東の日本へやってくる。汽車と船と馬とを乗り継ぎ過酷な旅に耐え、たどり着いた所は見たこともない不思議な異郷の地だった。彼は新妻を故国に残して来ていたが、日本の美しい少女に心を奪われていく。
日本人の目から見ると「まさか」と思われるシーンも何カ所かあるが、歌劇「蝶々夫人」に見られるような捨てられる日本女性ではなく、あくまでも日本の少女の美しさに翻弄される西洋の青年の物語であり、新鮮さが感じられる。画面の動きは少なく、坂本龍一の音楽も画面に沿ってゆったりと流れる。
日本、カナダ、イタリア合作。監督は「レッド・バイオリン」のフランソワ・ジラール、青年にマイケル・ピット、その妻にキーラ・ナイトレイ、日本の少女に芦名星。村の少年役・本郷奏多の東洋的な美少年ぶりも心に残る。(2008年2月7日・林田)