エリザベス ゴールデン・エイジ
苦悩する姿が痛々しい女王
「エリザベス」(1998年)に続き、シェカール・カプール監督とケイト・ブランシェットが再びコンビを組んだ歴史ドラマ。2585年、プロテスタントの女王としてイングランドを治めるエリザベス一世。国家に身をささげ、揺るぎない信念で女王の威厳を保っていたが、宗教対立に端を発した裏切りと謀略の渦に巻き込まれていく。
重厚感のある建造物ときらびやかな衣装。エリザベス役のブランシェットは肖像画から抜け出したような美しさだ。支配する身分にありながら自由を得ることができない女王。航海士に恋心を抱くが、その思いさえも封印せねばならない。外交戦に神経をすり減らす一方、一人の女として激しいしっとに苦悩する姿は痛々しく切なかった。
最大のヤマ場である海戦シーンの迫力不足が惜しい。歴史大作としての全体像を意識し、スペインの無敵艦隊を打ち破った戦略をしっかり描いてほしかった。(2008年3月6日・のだ)