K-20 怪人二十面相・伝
意外な結末と格差社会批判
このところ日本映画が好調だが、エンターテインメントの大作ではまだハリウッドとの力の差を感じることが多い。それだけに本作の思わぬ出来の良さにはとてもうれしくなった。
異次元の日本が舞台。人々は「華族」と呼ばれる富裕層と貧困層に分かれている。一九四九年の今、「華族」ばかりを標的として美術品などを盗み出す「怪人二十面相」が帝都を震え上がらせていた。その二十面相のわなにはめられ、怪盗と間違われたサーカスの曲芸師・遠藤平吉(金城武)は探偵・明智小五郎(仲村トオル)らを味方につけ、自らの無実の罪を晴らすため奔走する。
金城のアクションはキレがあって素晴らしく、時折披露する奇術も楽しい。「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴が協力したVFXも見事。「格差社会」を批判し、意外な結末を迎える脚本と監督は佐藤嗣麻子。優秀な人材にも支えられ、世界に堂々船出の快作だ。(2009年1月1日・小野)