少年メリケンサック
監督と出演者が異能ぶり発揮
脚本家、構成作家とマルチな活躍を続ける宮藤官九郎の映画監督第2作。テレビの大河ドラマ「篤姫」でお茶の間の人気者になった宮崎あおいが主演している。
レコード会社の契約社員かんな(宮崎あおい)はある日、動画サイトで「少年メリケンサック」というパンクバンドの映像を見つけ、売れると直感。早速メンバーに会いに行くが、遭遇したのは酔っぱらいで掛け値なしの中年のアキオ(佐藤浩市)だった。何と映像は二十五年前のものだったのだ。だが、社長が早々とライブツアーの予定を組んでしまったから、さあ大変。かんなの悪戦苦闘の日々が始まる。
主演の宮崎をはじめバンドメンバーの佐藤、木村祐一、田口トモロヲらがあきれるばかりの個性を発揮。監督デビュー作「真夜中の弥次さん喜多さん」に続き、「戯作」となろうが、ここまでくると芸術品。クドカン監督と出演者の異能ぶりにあてられる映画である。(2009年3月5日・小野)