チェンジリング
実話の映画化 品格ある秀作
クリント・イーストウッドが監督専任の最新作。アンジェリーナ・ジョリーと初めてコンビを組み、実話の映画化に挑んでいる。
1928年のロサンゼルスで、電話会社に勤めるクリスティン(A・ジョリー)の息子ウォルターがある日、こつ然と姿を消す。五カ月後、息子はイリノイ州で無事保護され、彼女は駅に迎えに行くが、対面した息子はまったくの別人だった。
タイトルは「取り換え子」の意味で、こういう出来事が現実にあるとは驚く。捜査のやり直しを求めるクリスティンに警察は応じず、果ては彼女を精神病院に強制入院させるのが恐ろしい。そんな状況にも負けず、失踪した息子の帰りを信じ、己を貫き通すクリスティン。彼女の強い愛と信念に胸打たれずにはいられない。
A・ジョリーがヒロインを好演。イーストウッドの優れた演出と監督自らによる音楽も相まって、品格のある秀作となった。(2009年3月12日・小野)