ヘブンズドア

アニメの名作「鉄コン筋クリート」のマイケル・アリアス監督作。

脳腫瘍でいつ死んでもおかしくない、と余命を宣告された勝人（長瀬智也）と、難病で幼いころから病院暮らしの春海（福田麻由子）。夢をみて都会に出てきたのに、中途半端で何もできなかった勝人は「海を見たことがない」という春海を海に連れて行く。

盗んでしまった高級車、お金、薬。はたから見れば、命の期限を提示された彼らの開き直りの自由がさせたことだ。しかし、彼らは死を目前にしたことで今までを振り返り、今自分にやれることを一生懸命に成し遂げた。

海を見たことがない少女に海を見せる。使い古されたテーマなのに、心に深く刻まれる。往年の名作を思わせるシーンや有名俳優たちがエキストラ同然の出演をしていることも見どころ。想像できるラストなのに、じんとさせられるのは、若い彼らの懸命さが美しいから。秀作！（2009年3月19日・手塚）