ワルキューレ
史実に基づき暗殺計画描く
第二次大戦下のドイツ、ナチスの独裁政治に反感を抱くシュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)は、レジスタンスの同志たちと共に「ワルキューレ作戦」と名付けたヒトラー暗殺計画を決行する。
良心に従う者、独裁者に屈する者、作戦を利用し陰謀をたくらむ者。さまざまな思惑が行き交う中、綿密に練られたはずの計画は、運命にもて遊ばれるかのように歯車が狂ってゆく。繰り返し迫られるぎりぎりの選択。それでも後戻りは許されない。前に進むか、死かなのだ。
ナチス政権のてん末を知る観客には、この作戦の失敗は容易に予想できる。しかし、その事実をもってしても、極限の精神状態から生まれる緊迫感に息をのまずにはいられない。
監督は「X―メン」「スーパーマン リターンズ」のブライアン・シンガー。史実に基づき、祖国を愛する者たちの正義に殉ずる姿を重厚に描いた秀作だ。(2009年4月16日・のだ)