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シネマ1987online

グラン・トリノ

ラストシーンの息詰まる戦い

今月末で79歳のクリント・イーストウッド監督主演作。ストーリーは分かりやすく単純で、ひと昔前の西部劇に通じる「男の正義の貫き方」が語られている。人間はどう生きるべきか? そして最後の死に場所をどこに求めるべきか? 物語は妻の葬儀から始まる。

頑固な老人ウォルト(イーストウッド)は朝鮮戦争に従軍し、その後はフォード社で長年働いてきた。自慢の車は磨き上げられた72年型のグラン・トリノ。だから日本車のセールスをしている息子を快く思ってはいない。自宅の隣にはアジア系のモン族が引っ越して来た。彼らに対して人種差別用語も平気で発するウォルト。しかし彼の中の正義は健在だった。

心を通い合わせるようになった隣人を悪から救うべく、最後の戦いに挑むラストシーンの彼の荘厳さには息が詰まる。老いてますます凛とした動作が美しいイーストウッドに魅了されること間違いなし。必見。(2009年5月14日・林田)

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