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アイデア奇抜「異説」日本史
「CASSHERN」ですごい映像センスを見せた紀里谷和明監督の新作。豊臣秀吉が天下を統(す)べた1582年、金持ちから盗んだ金品を貧しい庶民に分け与える義賊の石川五右衛門(江口洋介)は多くの品と一緒に紫の小箱を盗み出す。かくして秀吉(奥田瑛二)の配下の者との箱をめぐっての激しい争奪戦が始まり、それが盟友霧隠才蔵(大沢たかお)との対決にまで及んでいく。
コンピューターグラフィックてんこもりの映像は「CASSHERN」ほどの新味はない。だが、「異説」日本史と言いたいストーリーの面白さは前作をしのぐ。「箱」の謎などもう少し引っ張ってもと思うほどだ。
奇抜なアイデアが惜しげもなく注ぎ込まれているばかりでなく、映画としてのまとまりもこちらが上だ。演出者の成長がうかがえる一作で、五右衛門殿に見料を「盗まれた」気にはなりません。ぜひ財布のひもを緩めてみては。(2009年5月21日・小野)