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シネマ1987online

永遠のこどもたち

強いホラー色 秀逸なラスト

少女時代に過ごした孤児院を買い取り、障害のある子のホームに再建しようと家族で移り住んだラウラ。開園準備の中、一人息子が突然姿を消す。

「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ製作。ゴシック・ホラーの秀作「アザーズ」を思わせる雰囲気の中に現代の日常をさりげなくマッチさせた。

ラウラと息子シモンの秘密、孤児院の子供たちの秘密、そしてシモンの失踪の秘密、さまざまな人の死、それらは時の流れのようにさりげなく、容赦なく画面に現れる。その衝撃を出演者たちが表すのではなく、演出で表す手法が新しい。少しホラー色が強いが、幸福感あふれるラストが秀逸だ。

愛する者を失い、それでも会いたいと願うとき、心はどの時間をさまようのだろう? 現在、過去、未来。「永遠」という言葉の意味を、これほど深く問うことになる作品はまれである。(2009年6月11日・手塚)

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