It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

チェ 28歳の革命

さめた目線で生きざま描く

キューバ革命の英雄チェ・ゲバラを描く二部作の第一弾。「モーター・サイクル・ダイアリーズ」(2003年)では若き日のゲバラをガエル・ガルシア・ベルナルが演じたが、スティーブン・ソダーバーグ監督の本作ではベニチオ・デル・トロが演じる。そして時代的にはその後の、フィデル・カストロと出会い、キューバ革命を成功に導くまでが描かれる。

革命家の映画なので情熱的かと思いきや、随分さめた目線の作品でびっくりする。だが、それはこの革命家の生きざまを冷静に見つめ直そうということでもある。医者でありながら圧政に憤って武力闘争に身を投じ、戦場では負傷者の看護を優先させるゲバラ。貧しい山村の人々には字の読み書きを教えたりもする。

「革命家にとって一番大切なものは?」と聞かれ、「愛だ」と答えるゲバラ。ここが他の指導者との違いだろう。ゲバラがなぜ今も人々に人気があるか、それがうかがえる映画である。(2009年1月15日・小野)

TOP